地震調査報告書ダウンロード


1.地震の諸元

名称1999年コジャエリ(トルコ)地震
発生年月日1999年8月17日 3時01分39秒(現地時間)
震源地北緯40.702 東経29.987
深さ17㎞
マグニチュードSurface Wave=7.8, Body Wave=6.3, Duration=6.7, Moment=7.6

2.被害写真

下図の地名をクリックすると写真詳細へ移動します。





①KARAMURSEL(カラミュルゼル)

【海岸部の水没】
カラミュルセルの中心にある公園では、海岸部が大きく陥没して、銅像(全国どこでも見られる近代トルコ建国の父、ムスタファ・ケマル(アタチュルク)の台座が沈下・傾斜した。陥没部では1m弱の土層が見えていた。


【海岸線水没部背後の亀裂】
水没部の背後で海岸線に平行する段差を伴う亀裂が見られた。海岸線の陥没・流動のために背後の地盤も海側に向かって移動したために生じたと思われる。


②URASLI(ウラシュル)

【海岸線の水没】
東西に隣接するハリデレ、カラミュルゼル同様、海岸線の一部が水没した。水深は海岸線の5~10m先から急激に深くなっている。このような水深の分布は水没した海岸に共通している。


【灯台の倒壊】
船だまりの先端の灯台の基礎地盤が沈下するとともに、灯台が倒壊した。


【地盤の側方流動】
護岸直背後にあるミニサッカー場では、水際線に平行に何条も大きな亀裂が走り、その間から噴砂が出ていた。サッカー場の脇では、このような幅40㎝にも及ぶような地割れが見られた。サッカー場内と脇の地割れから、地盤が海岸方向に2~3m移動したことがわかる。


③HALIDERE(ハリデレ)

【海岸部の水没】
イズミット湾南岸にあるハリデレは、隣接するギョルジュクやデイルメンデレと同様に、海岸部が広範囲に水没した。海岸道路の一部が水没して寸断された。


【海岸付近の建物崩壊】
海岸道路が寸断された付近にある建物が崩壊した。柱が座屈する形の崩壊であるが、付近の道路には横断亀裂もあるため、地震慣性力だけではなく、地盤変状の影響もあるかも知れない。


④DEGIRMENDERE(デイルメンデレ)

【デイルメンデレ海岸部の水没】  
ギョルジュクの西隣にあるデイルメンデレでも海水浴場が最大奥行き80mにわたって水没した。このため海岸付近にあった4階建てのホテルが無くなってしまった。おそらく崩壊して水没したと思われる。


【デイルメンデレ東部海岸付近の断層①】
同地点では断層がほぼ東西方向に走り、このため海軍基地の塀に、開き(1.5m)と食い違い(4.3m)が生じた。


【デイルメンデレ東部海岸付近の断層②】
断層が海に出る場所では護岸が破壊し、水路は大きくゆがんだ。


【デイルメンデレ東部海岸付近の断層②】
断層が海に出る場所では護岸が破壊し、水路は大きくゆがんだ。


⑤GOLCUK(ギョルジュク)

【プールの水没(GOLCUK市東部海岸)】
海岸部が数十メートルの幅で沈下し、海岸線近くにあったプールが水浸した。このような沈下・水没被害はイズミット湾の南岸でかなり広範囲の地域で見られた。


【建物の崩壊(GOLCUK市内)】
柱・床の接合部で大きな被害を受け、ペシャンコになる建物が多くあった。


【GOLCUK市内の水没】
ギョルジュク市東部の海岸部が広範囲にわたって水没した。該当のある部分は、護岸沿いの道路にあった者である。この地盤変動は主断層(イズミット湾の南岸沿い)に斜交する方向で発生した副断層の影響を受けていると考えられる。


【断層による地盤の変位】
主断層に角度をもって発生した副断層のために、2m程度の段差がついた道路。この地盤変位で埋設管が抜け出したり破断したりした。


⑥SAPANCA(サパンジャ)

【湖岸のホテルの水浸】
アダパザル西方のサパンジャ湖南岸にある、サパンジャホテルが水浸し、建物も大きな被害を受けた。


【ホテルの傾斜・沈下】
サパンジャホテルが水浸するとともに、沈下・傾斜し、アトリウムの2階部分にかかっていた通路が落下した。


【ホテル隣接道路の亀裂】
ホテルに隣接する海に向かう道路には横断亀裂が多数発生し、地盤が海岸に向かって移動したことを物語っている。


⑦ADAPAZARI(アダパザル)

【断層による地盤の水平変位】
(ADAPAZARI南、高速道路インターチェンジ付近)
給油スタンド敷地内で、断層のために4.3mの横ずれが生じた。もともと同一線上にあった舗装面が写真のようにずれた。


【道路の盛り上がり】
液状化に原因すると思われる道路の盛り上がりが生じた。建物も沈下していると思われるが、それ以上に道路が盛り上がっている。道路下にはコンクリートのボックスのようなものが見えたが、詳細は不明。道路の盛り上がりは市街のあちこちでみられた。


【液状化による建物の傾斜】
アダパザルでは、液状化が大規模に発生し、多くの建物が沈下や傾斜、転倒が発生した。この建物は約9度傾斜している。非液状化地区では、柱が座屈して潰れるパンケーキ破壊が多く見られるが、液状化地区ではそのような被害はない。


【液状化による建物の転倒】
完全に転倒(傾斜60度)してしまった建物。建築中でまだ人は居住していなかった。液状化による地盤支持力の消失と考えられるが、噴砂は見られなかった。


⑧DUZCE(ドュズジェ)

【GOLYAKA(DUZCEの西南西)の回教寺院の被害】
丘陵と低地の境界部における地震動の被害。比較的新しい地震建築物の被害が多かった。


【建物の崩壊(DUZCE市内)】
構造的な脆弱さに起因するこのようなパンケーキ破壊が目立った。