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AIアルゴリズムを活用してより迅速で精緻な分析を可能にします。
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スマホで5分、AIで簡易粒度判定 「電脳粒度」(電脳地盤シリーズ)



スマートフォンで写真を撮るだけで、砂質土の粒度組成を「見える化」します。粒度組成の簡易判定を行うことで、現場作業の効率化を図ります!基礎地盤コンサルタンツは、約4万枚の砂質土写真画像と粒度試験結果を用いてAIの学習を行い、砂質土の写真画像から簡易的に粒度組成を求めるシステムを開発しました。

特許名称: 粒度分布予測装置、機械学習装置、粒度分布予測方法、及び、機械学習方法
出願番号:特願 2022-126161
特許番号:第7496858号

「電脳粒度」開発の背景

従来、土質材料の粒度組成を判定するには、試験室で粒度試験(たとえば、JISA1204など)を行う必要があり、少なくとも1日以上の時間を要しました。また、多数の試料について試験を行うため、費用もかかりました。このため、盛土などの施工現場では、経験者による目視や触診に基づいて土質材料の区分を行い、抜き取り検査で粒度試験を実施し土質区分を追確認するのが一般的でした(土質材料区分のバラツキの是正、判定の信頼性向上が望まれています)。

このような状況の中、令和3年度に実施された中国地方整備局の建設現場に係る課題、「現場ニーズと技術シーズのマッチング試行」に対して、弊社は「画像分析AIを用いた簡易的な粒度分析」を申請し、現場試行の結果、所定の成果を得ることができました。現場作業の利便性の改善を目指し、判定システムのアプリ化に成功、施工現場での利用に限らず、ボーリング調査時における簡易的な土質区分や液状化判定など、用途は広がっています。

方法と技術の概要

簡易粒度判定は、

1. 試料の調整とマーカの設置
2. 写真撮影
3. AIによる分析

の手順で実施します。

1. 試料の調整とマーカの設置

分析する土質材料をバットや平板上に取り出し、コテ等で表面をならし、所定のマーカを置きます。マーカは写真画像からサイズを決定し、撮影角度を一定とするために使用します。マーカを特殊な資材を用いる必要はなく、白色で汚れを簡単に落とすことができる材料で用いればよく、たとえば、直径35mmのプラスティック製の薄い円盤や白い紙を切ったものを用います。また、ピンポン球や500円硬貨で代用することもできます。図-1(a)は試料の調整状況を示す写真であり、図-1(b)は調整した試料の拡大写真です。


【図-1(a)】試料の調整状況


【図-1(b)】試料の拡大


2. 写真撮影

写真撮影は、試料に対して正面になるように行います。本アプリをインストールしたスマートフォンを用いて写真撮影を行う場合、マーカとアプリケーションが示すマークが一致するような状態で写真撮影を行います(図-2)。スマートフォンで撮影された画像は、自動的にサーバに転送され、AIによる分析が実行されます。


【図-2】試料の写真撮影


3. AIによる分析

図-2に示した青い枠で区切った5箇所の画像について、AIによって簡易粒度判定を行います。判定は画像の白黒化と明るさ調整、畳み込みネットワークによる分析、結果の表示の順に自動的に行われます。また判定結果は、図-2に示した5箇所の平均となります。判定結果はサーバからスマートフォンに転送され、スマートフォン上に判定結果が表示されます。判定に要する時間は約5分*で、直ちに判定結果を得ることができます。図-3は判定結果の一例で、加積粒度粒度曲線、粒度特性などがその場で表示されます。
*スマートフォンの能力、インターネットの通信速度、サーバの混雑状況により時間は変動します。


【図-3】判定結果の一例(左から判定した画像、加積粒度粒度曲線、粒度特性)


判定結果の精度

表-1と図-4は、約1万試料について、粒度試験(JISA1204)で求めた土質試料の粘性土分、砂質土分、礫質土分とAIによる判定結果を比較したものです。表-1において与条件が粒度試験(JISA1204)結果となります。AIによる簡易判定結果は、粘性土分、砂質土分および礫質土分の区分において、95%以上の判定精度を有していることが示されています。また図-4からバラツキはあるが、幅広い範囲で粒度試験とAIによる判定が一致していることが示されています。


【表-1】 分析結果例


【図-4】簡易粒度判定とJIS粒度試験結果との比較


【図-5】加積粒度分布曲線の比較


図-5は、JIS粒度試験と本出願における簡易分析における「加積粒度分布曲線を比較」したものです。両者の曲線は概ね一致しており、実務上問題が生じない精度での判定結果となっています。

今後の展開

電脳粒度の有料化は来年1月を予定しております。また、現場ごとにカスタマイズしたAIシステムの構築、サービスの提供を検討しています。現システムの適用範囲は、砂質土から礫径の小さい礫質土ですが、土石流堆積物や岩砕など礫径の大きい材料への拡張をはかる予定です。


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