試験装置開発を伴う委託試験
地盤は、自然の営みの長い年月の中で育成された複雑な構造体です。その性質を探り、建設事業に反映させること。この理念の下、当社は1956年に業界初の土質試験室を開設しました。創業時には手作りに近い試験機でしたが、新たな理論、計測技術、制御技術の進捗とともに次々と改良され、より複雑な土の性質の解明することが可能となりました。その成果は、各種の研究機関による成果として、さまざまな基準に取り入れられてきました。
日本産業規格(JIS)、地盤工学会(JGS)に準拠した土質・岩石試験をはじめ、さまざまな条件に対応した静的・動的試験機器をそろえ、きめ細かな試験の実行と確実なチェック体制の下で、高品質なデータを提供しております。また、各ジオラボセンターでは、社会貢献の一環として、技術講習会や実習の場をご提供しております。
これまで説明できなかった現象を捉え、新たな解析理論に基づいて開発された「数値解析手法」に用いられる地盤物性値の取得や、食品や鉱物など地盤以外の材料を扱う機器の開発に必要な材料特性など、お客様のご要望に応じて、従来の試験手法では対応できない課題に対して、これまでに培われた開発技術を受け継いだ試験技術者が(試験装置の開発を含め)目的に沿った試験方法や計画を提案します。
大規模地震および液状化対応試験
地震が多発するわが国では、1964年に発生した新潟地震を契機に本格的な耐震対策への研究が開始されました。当時、当社が開発した液状化試験手法はさまざまな研究機関に使用され、その成果は多くの建設基準に取り込まれ、その後のわが国の構造物の耐震性能の向上に寄与してきました。しかし、近年多発している大規模地震は、これまでの範疇を超えた災害をもたらしました。これまでの建設基準はさらに改定が必要となり、より精度の高い試験結果が求められています。これらの動向に対して速やかに対応し、保有する機材を目的に応じて組み合わせ、高度で複雑な試験条件を再現することで、現在も重要な試験結果を提供し続けています。
関東試験室 大型三軸試験室
地すべり・斜面崩壊対応試験
近年の異常気象が誘因となり、山地近辺の斜面で地すべりや斜面崩壊が多発しています。これらの自然災害への防止策は、その地点特有の地盤情報を的確に把握することから始まります。 “発生した”または“発生すると予想される”地層条件や現象形態などを基に、最適な試験条件をご提案・実施しています。
大型リングせん断試験
近接施工対応などへの高精度静的試験
既存構造物の近くでの建設工事では、工事の影響で近隣施設に生じる被害を未然に防ぐために数値解析などで正確な地盤挙動を予測し、事前に対策を講じることが求められます。地盤の強度や変形特性は工事方法・手順に応じて、地盤内に発生する複雑な応力履歴によって複雑に変化します。そのため、当社では、これらの履歴を試験機内で再現した「高精度解析用の地盤強度」や「変形特性」を試料条件に対応した試験による最適な結果を提供しています。
マルチ三軸試験装置(軸圧・側圧高精度独立自動制御)
地下水浸透対応試験
土の中を流れる地下水の挙動は、その地盤の水分量とその地盤を構成する土粒子の隙間の開き具合によって異なります。また、建設工事や井戸水の汲み上げなどの外的要因が加わると、地盤内の応力が変化し、さらに土粒子間の間隙が変化し、その状況は刻々と変化します。現在ではこの問題を解決し、有効な設計を行うための手段として、コンピューターを用いた「地下水浸透流解析」や「有効応力解析」といった数値解析がよく使われています。しかし、これらの解析の精度はその解析モデルに入力される地盤の透水性能を示す「地盤物性値」に大きく影響されます。当社は、地盤内の応力状態を再現した地盤の浸透特性や比抵抗値を得るための試験を実施しています。
三軸圧縮試験装置を用いた様々な応力条件下での透水試験
環境対応試験
既設の工場や施設の跡地の再利用に伴う土地区画開発やトンネル工事などの大規模な建設工事においては、時折、その土地の土壌や地下水に含まれる有害物質が原因となり、その土地の有効利用や周辺住民の健康障害につながる課題となる場合が少なくありません。当社は「計量証明事業所」として、さまざまな土壌・地下水の環境基準にしたがった化学分析のほか、カラム試験、土槽実験、水槽実験などの浄化処理を目的とした試験を提案・実施しております。