【コラム】 地盤が注目されている!

コラム

 当社の社名に入っている「地盤」が、一般社会や建設業界全体で注目され始めています。
これには、博多駅前の道路陥没事故が影響していると思います。まるでパニック映画の一場面を見ているような錯覚に陥り、ポッカリ空いた地盤の中の工事がいかに高いリスクを伴ったものであるか一般の方々にも分かったでしょう。それ以上に驚いたのは発注機関の方々だったと思います。「こんな事があってはならない」ことを絵に描いたような想像を絶する出来事だったからです。

 実はこのような地盤に関わる大きな事故やトラブルは、高度に整備されてきた基準やマニュアルを適用していたにも係らず繰り返し生じています。その原因のひとつが、リスクに対する意識の薄さにあったと思います。そして、このリスクの最も大きな要因が地盤にあるのです。事故が起きたとき、なぜこのような地盤のリスクが分かっていなかったのか、と思っても後の祭りです。

 このように考えてみると、地盤を調査するということは、地盤に含まれているリスクを調べそれがどの程度危険かを判断することになります。そして、そのリスクに対処するために設計を行うことです。
これが私たちの仕事の大きな一面です。地盤調査が単に設計のための地盤条件を調べるという位置づけだけでないことがお分かり頂けると思います。
 そして、地盤に関連するリスクは、最初に一度調べればよいという訳ではなく、建設事業のその後のすべての段階で確認し、関係者で共有することが重要です。当然のことながら、建設完了後の維持管理においても極めて重要な要素となります。

 地盤が注目されるのは、幸か不幸か、以上のように災害や事故によりリスクが発現したときです。地震時の地盤の液状化や豪雨時の土砂災害なども典型的です。私たちは、このような災害や事故で飯を食っていると昔から自嘲気味に言っていましたが、本当はまったく逆で、安全を確保したり余分な建設コストを抑えることに直接役立つことで大きな社会貢献を果たしてきているのです。
(代表取締役 岩﨑公俊)