【コラム】海外で働く女性技術者にインタビューしました

コラム


海外現地法人Kiso-Jiban Singapore Pte. Ltd.で取締役を務め、シンガポールの地盤工学分野で活躍している女性技術者のミシェール・リュウさんに話を聞きました。

Q.どうして基礎地盤で働こうと思ったのですか?
A.基礎地盤に入社する前、私は総合コンサルタントに8年間勤めていました。地盤技術者として設計事務所にいた際に、土を直接見たり、触ったりする機会はほとんどありませんでした。基礎地盤は現地調査・試験から室内試験、動態観測、設計までの全ての地盤サービスを提供する唯一の会社でしたので、2009年に入社しました。私は基礎地盤で働くことで本当の地盤技術者としての専門知識が身に付き、キャリアアップできると考えています。実際、基礎地盤で働いた経験が生き、2012年に地盤工学の技術士を取得しました。基礎地盤にはとても感謝しています。

Q.どのような仕事に取り組まれていますか?
A.公共工事から民間の建築工事において、主に掘削や深い基礎、埋め立てに関する業務を担当しています。

Q.もう少し詳しく教えてください。
A.私はプロジェクトを監理したり、技術的な問題を解決したり、また複雑なFEM解析を実施したりしています。プロジェクトマネジメントは本当に難題です。特に、官庁やクライアントの多様な希望に答えなければならない時は大変です。私たちは設計が安全で堅牢であることを保証した上で、同時に費用対効果や時間対効果にも配慮する必要があります。技術的に困難なプロジェクトほど私は情熱を燃やし、問題の解決と複雑な解析に自身を駆り立てます。

Q.今、何に対して力を入れていますか?
A.地盤工学に不変なものはありません。地盤状況やサイトの制約はプロジェクト毎に異なります。各プロジェクトの開始時には、まず地盤と水の状況の把握、付近の構造物への影響と設計・施工上のリスクの検討に力を注ぎます。シンガポールのプロジェクトは近年とても複雑になり、複合的な技術的解決が求められます。解決のため、私は最新の三次元FEM解析 を用いて包括的な地盤変形予測を行いました。先進的なFEM解析は施工時の複雑な技術問題を理解するための重要なツールです。

Q.今まで取り組んだ中で大変な仕事は何ですか?
A.私が取り組んだ中で最も大変だったのは、MRTトムソン・イーストコースト線のマリーナ・ベイ乗換駅の歩行者用地下通路と地下鉄トンネルの設計と施工時変形解析でした。施主は大成建設株式会社です。通路は2本の供用中のトンネル(サークル線と南北線)の下に建設されました。アンダーピニングの施工に併せて、既設トンネルを支える28本の既設杭を順次切断しなければなりませんでした。私たちは既設トンネルへの影響を最小限に抑え、無事作業を終えました。これを可能にしたのは、設計・施工の各段階での大成建設の技術者との密な連携です。私たちは現在、地下通路の下を貫通する2本の地下鉄トンネル建設の事前工事として地盤凍結工法を実施するという次の課題に着手しています。

Q.職場環境はいかがですか?
A.基礎地盤の職場文化は皆が知識を遠慮せずに共有することです。私たちが技術的に困難なプロジェクトでも恐れずに引き受けられるのは、解決策を一緒に考える専門家や経験ある技術者が大勢いるからです。ここでは皆、クライアントへ最高の技術的サービスを提供するという共通の目的のもとに働いています。

Q.5年後の自分はどうありたいと思っていますか?
A.今後5年間、シンガポールは多くの大深度地下インフラを整備していきます。南北地下道路トンネルや高速鉄道、MRTクロス・アイランド線、チャンギ空港第5ターミナル、トゥアス水再生プラントなどです。私の関心は地盤工学の技術を発揮することです。既設構造物が密集する中で建設をしなければならないような技術的に困難なプロジェクトの多くに積極的に関わっていきたいですね。

◇英語版 "Kiso-Jiban Staff Interview"