岩﨑社長のインタビュー記事が新聞に掲載されました /「一般財団法人国土地盤情報センター」発足

プレスリリース

建設通信新聞 2018年7月20日 [15面] 地盤特集2018(3) 掲載より

一般財団法人国土地盤情報センター 理事長 岩﨑公俊氏に聞く/官民が持つ地盤情報を収集・利活用/「一般財団法人国土地盤情報センター」発足


地盤情報の一括管理運営を行う『一般財団法人国土地盤情報センター』が設立された。官民が持つ地盤情報の収集・利活用を目的とする「国土地盤情報データベース」の運営主体として国土交通省から認可されたことを受け、目的や役割について理事長の岩﨑公俊氏に話を聞いた。


設立までの経緯は


「いま、社会資本そのものである地盤情報を国土形成の基盤となる『国土情報』と位置付け、地盤情報の的確な管理運営を行うことが求められています。 2017年9月に社会資本整備審議会・交通政策審議会から公表された『地下空間の利活用に関する安全技術の確立について』の最終報告(答申)でも地盤情報 の重要性やデータベース化の必要性が提議されています。また、『今後の発注者のあり方に関する基本問題検討部会』の中間とりまとめ方針(案)においても、 一貫して地盤情報の有効性と利活用の必要性について提言されています。さらに、施工リスクの低減やi-Constructionのさらなる活用においても 官民の地盤情報の構築が必要となってきています」
 「こうした状況を踏まえ、全国地質調査業協会連合会において地盤情報の一括管理運営を行う『一般財団法人国土地盤情報センター』を設立しました。そして、官民が持つ地盤情報の収集・利活用を目的とする『国土地盤情報データベース』の運営主体として国土交通省から認可されました」


目的について


 「いま、全国的な国土地盤情報データベースの構築が求められています。国土交通省は直轄工事にかかわる地盤情報のデータベースシステムとなる国土地盤情報検索サイト『KuniJiban』を公開しています。国土地盤情報データベースはそのデータに加え地方自治体などの協力を得て発注者と連携し統一的に情報管理を行うことで、国土の整備・保全に欠かせない貴重な情報を提供する国家的なデータベースを目指しています」
 「さらにその効果として、(1)i-Conへの貢献(2)施工リスクの回避・軽減(3)国土強靭化--が挙げられます」


国土地盤情報データベースのイメージ(国土交通省:調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会=2017年度第2回=参考資料7)

(1)i-Conへの貢献
「生産性向上において、3次元地盤モデルはデータ量が少ない場合、精度が問われることになります。というのも、地盤の地層情報などは技術者の技量やデータ 量の関係で推計データとなるからです。データ量が多ければ多いほどモデルの精度が高くなることから、適正な数量のボーリング調査を行うことはもちろんのこ と、既存データを活用することでより精度の高い地盤モデルを構築する必要があります。ただ、現在の国交省のデータとその他の情報を加えたものにはデータ密 度に大きな差があるのが現実です」


地盤情報の検定、データ登録の流れ(国土地盤情報センターウェブサイト)

(2)施工リスクの回避と軽減
 「2016年に発生した福岡市営地下鉄工事による道路陥没事故は記憶に 新しいところですが、事故の主因の1つは風化岩層の性状の変化がリスクとして発現したことです。このような事例に対して地盤情報が整備されていれば事前に そのデータを基に地質リスクを検討しておくことができ、施工リスクの発現を回避や軽減することが可能となってきます」

(3)国土強靭化への貢献
 「日本は地震や大雨などによって液状化や斜面崩壊などの地盤災害が非常に多く発生していますが、事前予測や災害対策検討に地盤情報が極めて有益であり、そのデータベースが国土強靭化に貢献することができます」


役割と期待


 「国交省は、地質調査業務や工事の際に実施されるボーリングや土質試験結果を指定機関に登録することを『地質・土質調査業務共通仕様書』に義務付けました。当センターは、その運営機関として指定されました」
 「地盤情報がデータベースに登録されるまでの流れとしては、発注者から指示を受けた受注者は地質調査で得られた情報を国交省の電子納品に基づき整理します。そして、当センターに検定対象の地盤情報を送付し検定が行われます」
 「ただし、検定の際には検定料が発生します。この検定料には2種類あります。1つ目のA検定は資格者が担当する場合で、2160円(税込み)となります。B検定は資格者が担当しない場合で、3240円(同)となります。この資格者とは、ボーリング責任者や地質調査技士、技術士などが該当します」
「ただし、データベースがより有効に幅広く活用されるためには民間データの活用や3次元表示アプリの開発、2次加工情報の一般公開、さらには地質リスクの検討、社会資本情報プラットフォームとの連携が不可欠となってくることから、今後、当センターでは事業活動として行っていく予定です」

システム活用は発注者にもメリット

  「今後、国民の安全を図るためにも発注者の協力が欠かせません。また、発注者がこの事業を活用することで的確な調査計画、施工リスク管理、i-Conにお ける3次元化など大きなメリットがあります。さらに国土強靭化も見据え発注者と一体となって地盤情報をデータベース化できればよいと考えています」

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