安田東京電大教授が九大で退官記念講義/関係者ら100人参加

プレスリリース

建設通信新聞 [ 2018年08月23日 2面 ]掲載


安田教授

 ことし3月末に東京電機大を定年退職した安田進東京電機大レジリエントスマートシティ研究所プロジェクト研究教授の九州での退官記念講義が17日、福岡市の九州大学西新プラザで開かれた。大学関係者や官公庁、建設コンサルタント、建設会社、学生ら約100人が参加した。
安田教授は「地盤災害の軽減に向けて」をテーマに、地震時の液状化や斜面崩壊などの研究・技術開発を紹介した。液状化発生の予測実験に初めて成功した東大大学院時代や液状化関連の業務が急増した基礎地盤コンサルタンツ勤務時代、液状化判定に用いる補正係数の実験を進めた九州工業大助教授から東京電機大教授時代を振り返り、「液状化判定方法にはまだ問題が残っている。後進にきちんとした方法を考えてもらいたい」と述べた。
 豪雨時の土砂災害、堤防被害の調査も行っており、「砂防堰堤は必要だが、土砂を海まで流すようにすることも大事」と強調した。現在取り組んでいる熊本地震による熊本県阿蘇市狩尾地区の陥没については、「約9000年前に湖があったのではないか。今後も動的土質試験や解析を進め、メカニズムを確定したい」と述べた。
 このほか、鉱さい堆積場の崩壊や下水道マンホールの浮き上がり、戸建て住宅の液状化などの対策について説明した。


安田教授を囲んで記念撮影

 基礎地盤コンサルタンツ勤務時の後輩に当たる田上裕取締役九州支社長も「結果はすべて現場にある」をテーマに、新北九州空港連絡橋の杭の鉛直支持力計算法、未圧密粘土地盤での軟弱地盤対策を紹介した。この中で調査と設計を同時に進めたことによって合理的で経済的な設計になったことを強調し、「工学の理論、式には適用限界がある。実際の現象とモデルの相違を理解することが原則」と話し、挙動の違いを予測して対応する重要性を指摘した。


 講義終了後、落合英俊九州大名誉教授が総評した。引き続き、規矩大義関東学院大学長の司会で記念パーティに移り、西田耕一九州建設技術管理協会理事、安福規之九州大大学院教授、永瀬英生九州工業大教授がメッセージを贈り、渡辺明九州工業大名誉教授の音頭で乾杯し、和やかに歓談した。最後に安田教授は「皆さんに励ましてもらった。感謝する」とあいさつした。




安田研究室