新社長インタビュー(1) 新聞掲載記事より

プレスリリース

建設通信新聞 2019年10月9日1面 掲載より

新社長・基礎地盤コンサルタンツ 柳浦 良行氏/必要とされる会社へ挑戦を


 基礎地盤コンサルタンツの社長に柳浦良行氏が1日付で就任した。地盤コンサルタントのパイオニアとして「社会から必要とされる会社、なくてはならない会社を目指したい」と強調。そのためには既存分野の強化とともに新分野・新ビジネスの事業拡大や新技術の開発など「チャレンジしていくことが大事だ」と社員を鼓舞する柳浦社長に、今後の事業戦略や運営方針などを聞いた。

就任の抱負を

 社会から必要とされる会社にならなければいけない。なくなったら社会が、業界が困ってしまう、そういう規模であり技術を有する会社を目指したい。そのためには、既存分野と新分野・新ビジネスの事業拡大による売上・利益の確保、生産性の向上による顧客の要求や市場に即した新業務開拓、新技術の開発、的確かつ効率的な地盤と構造物の調査・設計を提供するための社員教育の充実、運営の効率化と品質の向上の両立、海外業務の継続的強化による事業拡大、働き方改革によるワーク・ライフ・バランスの向上に努めたい。


新分野・新ビジネスとは

 いま注力しているのが洋上風力発電や地熱発電などの再生可能エネルギー分野であり、これからも推進していく。特に地熱では地産地消型の小規模な発電事業の試験的な運営に向けた準備を進めている。干渉SAR(合成開口レーダー)による道路の維持管理などリモートセンシングの技術開発にも力を入れている。原子力発電所の廃炉にしても地盤が関わるだけにわれわれのできることはあると思っている。
 都市再開発をにらんだ地下2m程度の3次元による可視化も今後間違いなく需要が出てくる。当社の強みである土質試験や地盤解析とあわせて、どういった技術を開発する必要があり、どこと組まなければいけないかということも考えていきたい。

海外事業については

 シンガポールを中心に歴史と実績があり、いいものを提供していけば競争に勝てる自信はある。ASEAN(東南アジア諸国連合)などインフラ需要が旺盛なことに加え、今後のメンテナンス市場拡大も見込めるだけにリモートセンシング技術を生かして欧米のコンサル会社とも堂々と争っていきたい。

社員教育も含めた働き方改革について

 総労働時間をいかに抑制するかが大きな課題だ。昨年からルーチン化した業務の報告書を標準化した。これをつくる過程では諸先輩が蓄えてきたノウハウを集結しており、結果的に技術の伝承にもつながることを意図した。柱状図から数量を拾う作業を自動変換するシステムも開発中で今期中には実用化したい。これは業界全体の時間短縮につながるはずだ。
 若手社員が問題を作成し監修もする基礎ドリルや技術士試験の受験生と管理職が模擬試験の結果をもとに議論するジオカンファレンスなども技術伝承の1つとして取り組んでいる。多様な働き方を含め、社会に対して価値のある会社として、若い人に選んでもらえる会社にしていきたい。

(やぎうら・よしゆき)1976年松江工業高専土木工学科卒後、同年島根県技術吏員に採用。86年長岡技術科学大大学院工学研究科修士課程修了後、同年基礎地盤コンサルタンツ入社。2008年取締役関西支社長、11年事業本部長、14年技術本部長兼務を経て、19年10月から現職。島根県出身。56年3月5日生まれ、63歳

【記者の目】直轄・直営から外部委託へと移り変わる中で、「自分の手でやりたい」という技術者としてのエネルギーが県庁勤務から大学院への進学を経て建設コンサルタントへと推し進めた。基礎地盤コンサルタンツには30歳で入社。年若い先輩たちに囲まれて「必死で勉強」し、3年で技術士を取得。「いまなら怒られてしまう」ほど仕事に身を費やし経験値を積んでいった。そのパワーと熱量はいまも健在だ。身振り手振りを交えて「人こそ資産」と熱く語る。その確固たる思いでかじ取りを担う。