新社長インタビュー(2) 新聞掲載記事より

プレスリリース

日刊建設工業新聞 2019年10月10日1面 掲載より

新社長/基礎地盤コンサルタンツ・柳浦良行氏/洋上風力など新分野に挑戦


長大グループの中核企業として、地盤調査の受注拡大と技術の高度化を経営の最重要施策に掲げる。民間需要が今後も伸長すると見て、洋上風力など新規分野で強みを生かす。液状化や陥没といった地盤リスクの可視化に貢献し「社会にとって不可欠な存在」を確立すると力を込める。

経営環境をどう見る

 地盤調査や設計などを主力に、現在の受注比率は官庁が6割を占める。市場動向を俯瞰(ふかん)すると今後も公共需要は横ばいが続くと予想される。当社が得意とする地盤調査業務を確実に受注する。陥没事故などを契機に地質リスクを重要視する動きもある。道路の維持管理や地滑り対策などで当社の技術力を生かす。

今後の注力分野は

 需要が増す洋上風力に関連した調査業務を狙う。現在、鋼製やぐらを1基製作している。来春の稼働開始を目指し、設計作業を進めている。海上業務は気象条件に影響を受けやすい。常に安全に気を配り、品質の高い地盤データを提供する。将来的には海底ケーブルのメンテナンス業務でも当社の強みを生かしたい。

 2011年3月の東日本大震災を契機に、石油メーカーが所有する油槽所の耐震補強工事も増えている。プラントの更新に合わせた地盤調査業務にも注力したい。官民案件をバランス良く受注し、収益基盤のさらなる強化に努める。

技術開発の方向性を

 遠隔地から測定するリモートセンシングを核にした技術開発に力を入れる。数ミリ単位で地盤の性状を把握できる『合成開口レーダー(SAR)』を道路の維持管理に使用したり、地形の凹凸を判読する『CS立体図』を駆使したりして地滑り対策などに役立てたい。

グループ内の連携強化策は

 建設プロジェクトを対象にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)とCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の融合を図る。3Dモデルで地盤下の状況を可視化し、地質リスクの把握につなげる。地質リスクを踏まえた上で、質の高い構造物を提供することができる。発注者や地元住民への理解も深まるだろう。

働き方改革は喫緊の課題だ

 残業時間をどう低減するかが課題だ。最も残業時間が長いのは、発注者に提出する報告書や柱状図の作成だ。当社は収集したデータを自動変換し記載できるソフトを独自開発した。ルーティンワークを省力化すれば時間を有効に利用できる。新しい発想や革新的な技術開発につなげてもらいたい。

(10月1日就任)
(やぎうら・よしゆき)1976年松江工業高等専門学校卒、86年基礎地盤コンサルタンツ入社。2008年取締役兼関西支社長、14年同兼専務執行役員、事業本部長兼技術本部長。島根県出身、63歳。趣味は水泳と里山づくり。モットーは「技術は話術だ」。顧客などとの信頼関係を大事にすることが仕事の第一歩だと語る。