新春TOPインタビュー2022 新聞記事より

プレスリリース

建設通信新聞 2022.1.11  14面 掲載

新春TOPインタビュー2022・コンサル 基礎地盤コンサルタンツ 柳浦良行社長

工務強化し地域に応える


 「国土強靱化対策がある官庁系は順調に推移した。民間は建築が止まったが、活発なエネルギー関係がカバーした」と、この1年を振り返る。結果として、2021年9月期は「売り上げ、営業利益とも前期を10%程度上回った」とし、22年9月期についても「基幹事業は好調だ。生産性を上げて利益も見込める。海外も復調してきている。いまのところマイナス要素は見当たらない」と明快に語る。
 一方で、基幹事業が好調であるほど人材の確保・育成は喫緊の課題となる。これを補う意味でもDX(デジタルトランスフォーメーション)は必須であり、「ルーチン業務の省力化や1人当たりの生産性を上げていくことが必要だ」と指摘する。
 また「基幹事業だけでは大きな伸びはない」として、新規事業、新分野開拓の必然性を説く。その柱の1つが「再生可能エネルギー」だ。需要が旺盛な洋上風力発電では「海底地質リスクを適正に評価することが重要だ」と強調し、「地盤・地質を中心とするわれわれが維持管理を含め30年間にわたって責任を果たせるような形で関わっていきたい」と見据える。

 これに加え、「地熱関係もこの1年で相当増えており、カーボンニュートラルに向けて自治体や企業の関心が急速に高まっている。グリーンインフラやブルーカーボンに対する関心も高い。地盤から派生する森林や地下水、水などの問題はわれわれが対応できる領域であり、地域のさまざまな要望に応えていきたい」と語る。
 そのためにも「自治体や住民の抱える問題点を明確につかむ必要がある。地元にいるエンジニアや営業マンが地産地消でお客さんの要望を肌で感じながら仕事をつくっていくことが大事だ」とげきを飛ばす。

 現場力の向上にも意を注ぐ。「工務部門の強化」をキーワードに、キャリア採用にも力を入れる。「いくらAI(人工知能)だ、DXだといってもそれは道具であり、最後は人に行き着く」からだ。「働く時間を短縮しながら生産性を向上するには待遇改善だけでなく、やりがいが大切になる。やりがいを持って働くことで能力が身に付き、それが次の仕事につながっていく」と好循環の道筋を描く。

 他方、「AIの教師データをつくるには経験を積んだ技術者が必要だ。それはわれわれが蓄えてきた技術を入れてつくり込むことであり、AIは技術伝承の1つとなる」と、その効用にも目を向ける。