AIによる粒度判定「電脳粒度」開発 新聞記事より

プレスリリース

日刊建設工業新聞社 2022年10月13日号 03面 No.01

基礎地盤コンサルタンツ/砂質土の粒度判定技術を開発、スマホで瞬時に


スマホを使ってその場で簡単に粒度を判定できる


 基礎地盤コンサルタンツ(東京都江東区、柳浦良行代表取締役)は、砂質土をスマートフォンで写真撮影するだけで粒度組成が判定できる技術を開発した。撮影した画像をAIが高精度に判定。従来手法では1週間程度かかっていた試験が瞬時に完了する。現地で粒度が確認できるため時間や人員が削減可能。土砂を使う施工計画に、判定結果を機動的に反映するといった効果も期待できる。
 
社内で試行運用を重ねた上で、2023年1月 にもインターネットによる簡易粒度判定サービスとして提供開始を予定している。
 

使い方はまず、分析対象となる土質材料をバットなどの上に広げ、コテなどで表面をならす。その上に円形のマーカーを乗せ、粒度を判定する上での大きさの基準とする。スマホの専用アプリでカメラ機能を起動し、画面上の赤い丸にマーカーを合わせて撮影すると、数秒程度で判定結果が表示される。マーカーは直径26・5ミリ、30ミリ、40ミリのいずれかの大きさで対応可能。500円硬貨(26・5ミリ)やピンポン球(40ミリ)でも代用できる。
 
判定結果はグラフで表示される。例えば粒径0・075ミリが20%というように粒径別の構成比が分かる。粒径のほか、れき質土分、砂質度分、粘性土分なども確認できる。人の手による試験と比較しても同程度の精度を確保している。
 
盛り土工事などで使用する土の質は発注者が指定している。場合によっては別の場所にあった土を混合させて使うこともあり、土の粒度が早期に分かれば現場の判断も素早くできるようになる。
 
通常、粒度を調べるには現場から試料を試験室に搬送する必要があり、期間も1週間程度必要で手間や時間がかかっていた。


2022年10月13日 建設通信新聞3面

AIで砂質土の粒度判定/スマホで撮影、5分で解析/基礎地盤コンサル


試料の写真撮影


  基礎地盤コンサルタンツは、約4万の砂質土の写真画像と粒度試験結果をAI(人工知能)で学習して教師データとすることで砂質土の写真画像から簡易的に粒度組成を求めるシステムを開発した。これにより、スマートフォンで写真を撮影するだけで簡易かつ迅速に粒度判定ができ、現場での土質判定や土質材料の良否判定の信頼度を高められるとしている。2022年内にはインターネットによる簡易粒度判定サービスを始める予定だ。

 同社は、21年度に実施された国土交通省中国地方整備局の「現場ニーズと技術シーズのマッチング試行」に、「画像分析AIを用いた簡易的な粒度分析」を申請し、現場試行の結果、所定の成果を得ることができた。このシステムは特許出願中だ。さらに現場作業の利便性改善を目指して判定システムをアプリ化することで、施工現場での利用に限らず、ボーリング調査時の簡易的な土質区分や液状化判定などにも応用可能としている。

 判定の手順は、分析する土質材料をバットや平板上に取り出し、表面をならした上でマーカーを設置。試料に対して正面となるよう写真撮影する。スマートフォンで撮影された画像は自動的にサーバーに転送されAIによる分析が実行される。判定にかかる時間は通信速度などの状況にもよるが約5分で加積粒度粒度曲線や粒度特性がその場で表示される。

 約1万試料について、粒度試験で求めた土質試料の粘性土分、砂質土分、礫質土分とAIによる判定結果を比較した結果では、いずれの区分でも95%以上の判定精度であることが確認された。加積粒度分布曲線の比較でも両者の曲線はおおむね一致し、実務上問題が生じない判定結果となっている。
 同社は今後、現場ごとにカスタマイズしたAIシステムの構築やサービスの提供を検討するほか、システムの適用範囲も現行の砂質土や礫径の小さい礫質土から土石流堆積物や岩砕など礫径の大きな材料に拡張していく予定だ。

 これまで土質材料の粒度組成を判定するには、試験室で粒度試験を行う必要があり、1日以上の時間を要していた。多数の試料を試験する場合は費用負担がかかるため、盛土などの施工現場では、経験者による目視や触診に基づいて土質材料を区分し、抜き取り検査で粒度試験を実施して土質区分を追確認するケースが多く、土質材料区分のばらつき是正や判定の信頼性向上が求められていた。


建通新聞 2022年10月18日 東京版

スマホ撮影で5分 AIが土質の粒度判定

基礎地盤コンサルタンツ(東京都江東区)は、スマホで砂質土を撮影するだけでAIが粒度を解析するシステム「電脳粒度」を開発した。ゼネコンや宅地開発事業者、地質調査会社などへの普及を目指し、2023年1月をめどに無料の試作版をリリースする計画だ。
 約4万点の砂質土画像と粒度試験結果をAIに学習させ、写真から簡単に粒度組成を求めるシステムとして開発した。現在、特許を出願中。


スマホで撮影するだけで土質の粒度を判定


 判定の手順は、土質材料を平面状にならし、アプリをインストールしたスマホで35ミリのマーカーを含めて撮影。その画像をクラウド上でAIが分析し、粘性土、砂質、れき質の区分を判定する。加積粒度粒度曲線や粒度特性はその場で表示。マーカーは500円硬貨やピンポン球で代用できる。
 このシステムは、21年に国土交通省中国地方整備局が高梁川水系小田川の築堤現場で、河床掘削土を山土とブレンドする際の粒度組成を簡便かつ高精度で判定できないか、という課題認識から生まれた「現場ニーズと技術シーズのマッチング試行」に呼応して開発した。同社は約1万の試料を用いた試験で粘性土分、砂質土分、れき質土分の各区分で95%以上の判定精度を有していることを確認している。
 今後は、れき径の大きい材料についても粒度判定ができるようにする一方、現場ごとにカスタマイズしたAIシステムの構築、サービス提供を目指している。また、インターネットによる簡易粒度判定サービスを22年度中に開始し、将来的には「電脳地盤」としてシリーズ化し、サブスクリプションで提供することも視野に入れている。

関連情報

電脳粒度(電脳地盤シリーズ)