新春TOPインタビュー2023  新聞記事より

プレスリリース

[建設通信新聞 2023.1.11  16面]  掲載

新春TOPインタビュー2023・コンサル 基礎地盤コンサルタンツ 柳浦 良行社長

【地・水・気の情報高度化】


2022年9月期は「受注高、売上高ともに前期から1割程度伸びた一方、物価高の影響もあり利益は減少した」と語る。23年9月期も「受注、売上げは1割程度の増加を見込んでいる」としつ、「利益は材料費や輸送など間接的な経費が見通せない部分がある」」として「前期並み」を想定する。
 公共投資は国土強靱化加速化対策が下支えしているものの、「営業の肌感としては確実に下がってきている」ことに懸念を隠さない。「バブルの頃と似たところがあって、実態としてちょっとずつ厳しくなっている」と感じる中で、「事業のくくり方を変えて、インフラ空間情報とインフラ整備の2つに大きく分ける」ことを社内に提起している。
前者は「インフラ整備のため、インフラ空間の情報を提供する」ことであり、「地面の中の“地圏”、地下水や川、海洋など“水圏”、SAR(合成開口レーダー)衛星データなど“気圏”の基本情報を取得するとともに、数値解析しリスク評価するなど情報を高度化し、付加価値化していく。そこが強みであり差別化技術となる」という。

 インフラ整備では「防災・減災、国土強靱化」を第一に挙げ、さらなる伸長を目指すとともに、「もう一つの大きな軸がエネルギー」と語る。特に再生可能エネルギーの中でも洋上風力発電は「売上げ全体の15%を超える基幹事業」となっている。今後も旺盛な需要が見込まれる中で、「海底地質リスクの視点から、単に地質調査だけでなく、設計や施工管理、維持管理にも対応していきたい」とし、その延長線上に「大陸棚の海洋資源」を「水圏」のターゲットとして照準を当てる。

 カーボンニュートラルも「まちの価値を生み出す地域活性化の取り組み」として捉え、自治体の導入可能性調査に積極対応。「地域創生を大きな目標として掲げる人・夢・技術グループの一員として、長大とも連携して取り組みたい」と見据える。
 社長就任時から提唱する地域に寄り添った「地産地消の営業」や稼働に直結する現場力を重視した「工務部門の強化」も着実に実を結び、「結果として受注、売上げが伸びているのはお客さまに認められた証」だと胸を張る。

 「この10年間で残業時間は半分になった。一方で売上げは伸び、年収も上がっている」という好循環の中で、「一人ひとりが指示を待つのではなく、自分で考え判断できる自立した社会人」であることを大前提に、人材育成にも力を入れていく。