地盤系BIM/CIM

地盤系BIM/CIM(3次元地盤モデリング)の取り組み

地盤調査部門では、ボーリングデータや地質断面図、物理探査データ等から3次元CADや地盤モデリングソフトを使用して、BIM/CIMモデル(3次元地盤モデル)を作成しています。

【図1】砂防堰堤における3次元地盤モデルの作成例

3次元地盤モデルは、基礎地盤や軟弱地盤の3次元的分布や地下水状況等の地盤環境を可視化することが可能です。そのため、支持層と構造物(杭基礎等)の直接的な空間関係を容易に把握できます。さらに、従来の面的(2次元的)調査手法で見逃されやすかった『地質・地盤リスク』を3次元空間上で可視化することにより、より確かな地質・地盤リスクの評価が可能となります。

図1は砂防堰堤における3次元地盤モデルの作成例です。支持地盤となる砂礫層(赤色)および下位の火山砂礫層(クリーム色)の3次元的分布状況と構造物(砂防堰堤)との位置関係を容易に把握することが可能です。なお、右岸側には小渓流が存在し、大雨時には土砂が流下するリスクがあります。そこで、小渓流からの土石流を補足できる位置に、砂防堰堤を配置・設計しました。

3次元地盤モデルによる『地質・地盤リスクマネジメント』

3次元地盤モデルから得られた『地質・地盤リスク』の評価結果は、BIM/CIMの属性情報として付与され、『地質・地盤リスクマネジメント』として活用されます。

『地質・地盤リスクマネジメント』を行うことで、建設生産プロセスの各段階(調査、設計、施工、維持管理・更新)に『地質・地盤リスク』情報を引き継ぐことが可能となります。これにより、地質・地盤に起因する事業リスクを低減する効果が期待されます。

【図2】3次元地盤モデルを用いた『地質・地盤リスク』の評価事例

図2は、3次元地盤モデルを用いた『地質・地盤リスク』の評価事例です。水色は軟弱地盤、黄色は支持地盤です。
3次元地盤モデルでは、地質・地盤リスクとなる支持地盤の不陸(埋没谷地形)を3次元的に可視化することができます。なお、事業当初の調査結果(ボーリング4本の3次元地盤モデル)を基に設計した杭基礎の長さでは、すべて支持層に到達しないため、杭基礎の根入れ深度を再検討する必要があります。

このように、3次元地盤モデルの作成を通じて、調査地域の地質・地盤リスクを適切に評価することが可能となります。さらに、作成した3次元地盤モデルを事業全体で利活用していくことで、地盤特性の3次元的把握、地質・地盤リスク低減のための効果的な追加調査のご提案、設計・施工ミスの防止などといった事業全体のコスト最適化につながります。

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