長大のフィリピンのミンダナオ島小水力発電および上水供給事業が竣工しました

プレスリリース

 長大が、フィリピンのミンダナオ島で取り組んでいる地域開発プロジェクトのうち、アシガ川小水力発電とタギボ川上水供給施設が完成しました。これらは、フィリピンにおける先進的な雇用創出等を通じた官民連携地域振興モデルによる地域開発事業(PPP事業)の一つとして注目されています。弊社も事業の一部を協力しています。

長大/比 ・ミンダナオ島にアシガ川小水力発電所が完成/ 6月から試運転


竣工を祝う永冶泰司社長(前列中央)ら=4月30日、ミンダナオ島ブトゥアン市で=3面に関連記事

 【ブトゥアン〈フィリピン・ミンダナオ島〉=富本伸一】長大がフィリピン・ミンダナオ島北東部のブトゥアン市で現地企業と共同実施している地域開発プロジェクトのうち、「アシガ川小水力発電所」とタギボ川中流部の「上水供給施設」が完成した。二つの施設は同社が中心となって開発を計画し、既に経済特区の登録を終えているタギボ工業団地への企業誘致で、事業活動に不可欠な電力や水を安定供給する役割を担う。今回の完成によって、同市を舞台に展開し雇用創出 と経済発展を促す民間主導型の地域開発事業が、より加速することになる。

 アシガ川小水力発電の事業費は3 3・6億円。長大は 2 0 1 1年の事業参画から6年をかけて取水堰や導水管、発電所などをすべて完成させた。6月から長大らが出資する事業運営会社が発電所の試運転に入る。


 上水供給事業は 1 5年に取水堰の工事に着手。浄化施設の建設を含め約3年で施設が竣工した。事業費は約16億円。今後は長大が参画する事業運営会社がブトゥアン市水道公社に代わり、施設を運営・維持管理。日常生活や経済活動に不可欠な上水を同市に供給する。

日刊建設工業新聞 2018年05月07日1面
記事ID : 3201805070103


長大/比・ミンダナオの地域開発が次のステージヘ/初の基礎インフラ案件完成


竣工式であいさつする永冶社長

 長大がフィリピン・ミンダナオ島のブトゥアン市で現地企業と共同で進めていた 「アシガ川小水力発電所」(発電容量 8メガワット)とタギボ川上流部の「上水供給施設」 が完成した。市の経済発展を支えるため、同社が計画する地域開発ブロジェクトに連動した基礎インフラ整備事業で、初の完成案件 となる。 = 1面参照

 4月30日に現地で行われた竣工式には、同社と共同で事業を行うミンダナオ島の大手ゼネコン・エクイパルコ(ルーベン・ジャビエール最高経曽責任者 (CEO) )、現地企業由企業のツインピーク(高野元秀社長)をはじめ、ブトゥアン市のロニー・ラグナダ市長、同社の永冶泰司社長、山脇正史取締役兼専務執行役員、井戸昭典取締役兼常務執行役員、基礎地盤コンサルタンツ(東京 都江東区)の岩崎公俊社長ら100人以上が出席した。


6月から通水が始まる取水堰

 アシガ川小水力発電所の式典の席上、永冶社長は 「この発電所による電力供給がミンダナオ島、さらにフィリピンの経済発展に寄与すると信じている。皆さんと歩みをともにして今後の安定した運嘗に努める』 とあいさつ。上水供給施設の式典で山脇取締役は 「基礎インフラ の整備で点から線、面のつながりをつくり、地域を豊かにするさまざまな事業を展開するサービスブロパイダとして力を発揮したい」と決意を述べた。


 アシガ小水力発電事業は、2012年5月に同社とエクイパルコ、地元のハイドロリソース、ツインピークの4社が特別目的会社( S P C )「アシガ・グリーン・エナジーを設立し、同年12月に着工。同社が取水堰 (高さ約15メートル、幅約100メートル)や発電所までの導水路 (延長3・5キロ)、発電所建屋、富士・フォイトハイド口社製横軸フランシス型水車による発電機の据え付けなどの施工監理といった業務を担当した。今後はSPCを通じ て運営する。同社は今回の事業のほかに、タギボ川小水力発電所 (事業費約21億円) とワワ川小水力発電所 (約112億円) を3社共同で整備する。
 一方の上水供給事業はブトゥアン市水道公社に代わって、水供給事業を運嘗するSPC「タギボ・アクアテック・ソリユーションズ」 が新規の設備投資と維持管理を担当するPPP事業。長大は15年3月、タギボ大株主であるエクイパルコからタギボの発行済み株式5%を 取得し、事業に参画した。

 SPCは1日当たり3万トンの上水を供給するための取水堰(高さ約13メートル、幅約60メートル)や浄化設備を整備し、25年聞にわたっての運用を担当。工業団地整備による 産業誘致で水需要が増えるとみて、1日当たり8万トンの水を供給するための増強工事を今冬から開始する。

日刊建設工業新聞 2018年05月07日3面
記事ID : 3201805070303









長大/比・ミンダナオ地域開発が加速/小水力発電と上水供給
【日本企業の参画機会拡大/2018年内に一社法人】


アシガ川小水力発電所の取水堰

 長大が、フィリピン・ミンダナオ島北東部のカラガ地域で進める、民間主導型PPPによる地域経済開発が一段と加速する。総額1400億円規模の事業群のうち、同社が最初に出資参画したアシガ川小水力発電事業が完工。本格的な商用運転を開始するタボギ川上水供給コンセッション事業と合わせて、4月30日に完工式が永冶泰司社長も出席して開かれた。今後さらに基礎インフラの整備を進め、電力・水の安定供給体制を構築した上で、農林水産系の豊富な資源を生かした産業振興や工業団地の開発などによる雇用の創出を目指す。これらの事業を推進する上で、日本企業により多くの参画機会を提供するため、一般社団法人の設立も予定している。


 同社は2011年、カラガ地域の中心都市、ブトゥアン市に本社を置く同島最大のゼネコンであるエクイパルコ社など現地企業3社と小水力発電事業の開発に共同で取り組むことに合意。12年5月にアシガ川(発電容量8メガワット)での事業運営に当たる特別目的会社(SPC)を設立し、同12月に着工した。これを皮切りに、タボギ川(4メガワット)、ワウ川(10メガワット)でもSPCを設立。タボギ川は20年、ワウ川は21年ごろの運転開始を予定している。3河川合わせた総事業費は約100億円を見込む。
 同国の地方公共団体では初のコンセッション事業となるタボギ川上水供給事業には、15年3月にSPCの株式を取得する形で出資参画。ブトゥアン市水道公社に25年間にわたって上水を一括供給する。同市の水需要増加が著しいため、現在、日量3万m3となっている供給能力を日量8万m3に拡張する設備増強に年内にも着工する予定だ。


完工式で祝辞を寄せる永冶社長

 このほか、16年度末に風力発電事業、バイオマス発電事業、タボギ工業団地開発事業についてもそれぞれ現地パートナーとSPCを設立済み。このうち、バイオマス発電では2国間クレジット制度(JCM)の申請を18年度に行う予定で、20年度中に設備容量2.5メガワットのパイロットプラントを稼働させる。事業費は約40億円。風力発電(150メガワット)は風況観測調査などを実施。22年度の運転開始を目指す。事業費は約320億円を見込む。

 これらの総合的な地域開発プロジェクトの推進に当たっては、従来の建設コンサルタントとしての役割に加え、事業企画から運営までのインフラのサービス・プロバイダーを目指しているのも特徴だ。
 日本や日本企業とのつなぎ役として、 国際協力銀行(JBIC)のツーステップローン活用など資金調達とともに、水車発電機や浄水施設、送水管などに日本の質の高いインフラ技術や設備、ノウハウを積極的に導入。 今後さらに日本企業などの参画機会を最大限に提供していくことを目的に、 年内にも一般社団法人の「日本ミンダナオ経済開発協会」を立ち上げる考え。


 人口40万人弱のブトゥアン市を中心としたカラガ地域で民間主導型の地域経済開発を実現し、大都市に比べて公共投資の優先度が低い地方中小都市をターゲットとしたビジネスモデルを構築することで、東南アジア各国への展開を図るとともに、そのノウハウを日本国内での地域活性化にも生かしていく。

建設通信新聞 2018年5月14日 3面



関連項目

2014/08/29 フィリピン ミンダナオに於ける小水力発電事業のための特別目的会社(SPC)設立契約を締結
エネルギー開発 水力(小水力)資源調査の実績